しゅうじゅせんねんのみどり
桜や花が見事に咲くころ、人の心は引きつけられます。
一過性の華やかな美しさに集まってしまいます。
では、松はどうでしょうか、、
一年中 変らず緑を保ち続けています。
話題にのぼるタイミングがありませんが、力強い緑の姿は素晴らしいものです。
「松樹千年翠」は、そんな松の姿を讃えた禅語です。
世の中がどう変わろうとも、人がなんと言おうと 黙って命を生かしている存在があります。
能舞台に描かれた松はどんな題目でも引きたてます。
いつも変らぬ緑に見えますが、実は春には黄緑色の若々しくやわらかい新芽を出します。
その陰で、古い濃い緑の葉は順に茶になり落ちていきます。
変らないように見えて、じっとしているだけでは現状は維持できません。
松の目立たぬ変化は私たちへの隠れた教訓ではないでしょうか、、。